目的
Z世代が企業に求めるサステナブルアクション作成にあたり、現状の環境問題に対する知識、意識、行動を計ることを目的とした意識調査を実施した。最終目的としては、若者と社会の間にできてしまった溝をうめ、若者の声が実際に社会に反映されるシステムを構築するために、集めた若者の声を参考にしながら、世界の先端事例に学んだ上で、具体的なアクションリストを作成し、企業・自治体に明示することを目指す。
概要
SWiTCH主催イベント・連携実績のある学校を中心に回答の協力をいただいた。回答者の中心は29歳以下のZ世代(83.7%)であり、女性の回答者が男性の回答者に比べてやや多い傾向にある。今回の意識調査では、若年層の環境問題に対する「知識」「意識」「行動」の3要素に関する実態調査と、日本の企業に対する期待感・評価に関して聞き取りを行った。
- 実施期間
- 2023年5月1日〜2024年3月31日
- 参加者合計
- 952名
知識
パリ議定書/温室効果ガス/プラネタリーバウンダリー/ブルーカーボン/TCFD/リニア経済/30by30/Re100
意識
- 気候変動は私たちが解決に向けて取り組むべき問題だ
- 環境問題に配慮しない人を見て不快に思う
- サステナブルな社会を自分の力で達成できると思う
- サステナブル化を進める組織的な運動に参加したい
- 発展途上国で発生している環境問題は私たちが解決すべき問題である
- サステナブル化に向けた意識や知識に世代差があると感じる
- サステナブル化に向けた行動は日常生活で望めばすぐにできる
行動
- 環境問題に関する情報を調べる
- 自分の生活や仕事でどれくらい環境負荷を与えているか調べる
- ゴミを自治体のルールに従って捨てる
- 食品ロスをなくすようにしている
- 植物性の食品を多くとるようにしている
- 職場や学校で周囲に節電を呼びかけている
- 職場(学校)でサステナブル化に向けた取り組みに参加している
- 職場(学校)にサステナブル化に向けて課題と感じた点を伝える
企業に対するサステナブル意識調査
- 日本の企業のサステナブル化は十分だと感じますか
- 若者と企業の協力でサステナブル化は進むと思いますか
- 商品やサービスを購入する中で、サステナビリティに配慮しているか意識していますか
- 就職活動をする(あるいはしていた)なかで、企業のサステナビリティに関する取り組みを意識しますか
参加者の属性



知識
-
パリ議定書について知っていますか
-
温室効果ガスについて知っていますか
-
プラネタリーバウンダリーについて知っていますか
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ブルーカーボンについて知っていますか
-
TCFDについて知っていますか
-
リニア経済について知っていますか
-
30by30について知っていますか
-
Re100について知っていますか
意識
-
気候変動は私たちが解決に向けて取り組むべき問題だ
-
環境問題に配慮しない人を見て不快に思う
-
サステナブルな社会を自分の力で達成できると思う
-
サステナブル化を進める組織的な運動に参加したい
-
発展途上国で発生している環境問題は私たちが解決すべき問題である
-
サステナブル化に向けた意識や知識に世代差があると感じる
-
サステナブル化に向けた行動は日常生活で望めばすぐにできる
行動
-
環境問題に関する情報を調べる
-
自分の生活や仕事でどれくらい環境負荷を与えているか調べる
-
ゴミを自治体のルールに従って捨てる
-
食品ロスをなくすようにしている
-
植物性の食品を多くとるようにしている
-
職場や学校で周囲に節電を呼びかけている
-
職場(学校)でサステナブル化に向けた取り組みに参加している
-
職場(学校)にサステナブル化に向けて課題と感じた点を伝える
企業に対するサステナブル意識調査

調査に対する所感
知識
温室効果ガス(95.3%)、パリ議定書(69.6%)については高い認知度があった一方でTCFD、30by30、Re100などの単語については認知度が低い水準にとどまった。回答者の中心は高校生と大学生であり、実務上ででることの多いサステナビリティに関連する用語の認知度が低い水準にとどまった可能性がある。
海に関連する「ブルーカーボン」の認知度はその中で35.4%と高い水準になっており、環境問題に関心のある層や若い年代において海の環境問題に対する意識が高い可能性が示唆される。
意識
どの項も高い関心を持っていることが明らかになった中で、「世代間での意識の差」を指摘する声が大きかった。一方で調査範囲においては世代間での意識に大きな乖離があるとは見られず、「意識の差」を感じすぎることが次のアクションのさまたげとなっている可能性がある。気候変動や発展途上国の環境問題に関しては問題の当事者意識が高いことも明らかになった。世代の中では共通して解決すべき問題として認識されていると思われる。一方で自分の力でサステナブルな社会を達成できる、組織的な運動への参加については同意の回答をする割合が少なく、当事者意識は十分にある一方で主体的な取り組みへの関心、自分の行動に対する結果への自身が小さい傾向が示唆される。こうした層へ、社会的なアクションのインパクトを伝えるエンパワメントが重要な取り組みであると思われる。
行動
ゴミの分別・食品ロスの削減については多くの人が取り組んでおり一般的な取り組みであると考えられる。一方でその環境アクションの行動について正確に評価することや自分で環境知識を身につける機会はそう多くなく、ある程度他者から情報提供を行う必要があると考えられる。また職場(学校)への提言や交渉などを行った経験のある人は限られており、提言・活動の先導などを行うことのできるアンバサダー的人材の育成がサステナブルな社会を作る上で急務であると考えられる。