若者検討会 実施レポート
共創プロジェクトとは?
近年「SDGs」「サステナビリティ」というキーワードが一般化し、気候変動に対する関心が高まっています。
しかし、日本はまだ周回遅れで、世界中の人々が日本人と同じ暮らしをすると、地球が2 .9個必要なほど地球に負荷を与えています。
これからの日本の取り組みが注目される中、札幌市でG7気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されました。
G7をきっかけに「札幌共創モデル」がスタート。
若者・大学・企業・自治体の4者が世代や業界を超えてつながり、未来のためにアクションを起こし、全国・世界に発信します。
「札幌共創モデル」とは?
若者・大学・企業・自治体の4者が、サステナブルな都市の未来について話し合い、生まれたアイデアを世代・業界を超えて共創する「札幌共創モデル」。
去る3月〜4月、アクションリストを作成するために3回の「若者検討会」を実施し、のべ300名以上の参加者から200以上のアイデアが生まれました。
「環境広場ほっかいどう」では、多様なアイデアを「10のアクション」にまとめパネルで紹介し、アクションに賛同する企業・自治体を募集します。できるところから取り組んでみてください。
私たちと一緒にサステナブルの波を起こしていきましょう。
アクション実現へのロードマップ
2023年3月〜4月に全3回の「若者検討会」を実施し、のべ300名以上の参加者から200以上のアイデアが生まれました。そのアイデアを「10のアクション」にまとめあげました。
2023年4月15日・16日にG7気候・エネルギー・環境大臣会合の開催に合わせ、札幌ドームで「環境広場ほっかいどう」が開催され、「10のアクション」を企業・自治体に発信しました。
G7後も札幌市・地元企業と対話を重ね、2024年2月には「札幌国際芸術祭」の開催に合わせ、活動を報告。
2024年以降は「ゼロカーボン若者検討会」として、対話を継続していきます。
全3回の「若者検討会」を実施
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2023年3月21日
第1回
北海道大学環境健康科学研究教育センター長・Future Earth日本委員会 事務局長
山内太郎先生 -
2023年3月29日
第2回
国立環境研究所 特任フェロー・Future Earth国際事務局日本ハブ事務局長
春日文子先生 -
2023年4月2日
第3回
東京大学 未来ビジョン研究センター教授・国立環境研究所 上級主席研究員
江守正多先生
LECTURE & DISCUSSION
アクションをより実効性のあるものにするため、アカデミアをお招きし、計3回のレクチャーを実施。地球環境の現状と対策、サステナブル化の好事例についてレクチャーをしていただきました。
3回のグループワークを通して、サステナブルな都市を実現するための意見やアイデアをまとめ、アクションリストを作成しました。
参加登録者データ
参加者合計:のべ 251 名
参加者所属先
- 東京大学
- 早稲田大学
- 慶応義塾大学
- 北海道大学
- 名古屋大学
- 静岡県立大学
- 香川大学
- 京都女子大学
- 滋賀県立大学
- 愛媛大学
- 札幌大谷大学
- 小樽商科大学
- 帯広畜産大学
- 新潟国際情報大学
- 熊本高校
- 市立札幌開成中等教育学校
- 北海道岩見沢農業高等学校
- 藤女子中学・高等学校 etc.
- 総合地球環境学研究所
- 佐賀県庁
- 北海道環境財団
- 北海道大学北極域研究センター
- 一般社団法人地球温暖化防止全国ネット
- (公財)新潟県環境保全事業団
- 株式会社鈴木商会
- 株式会社富士通ゼネラル
- 株式会社北翔
- 日置電機株式会社
- ジャパン建材株式会社 etc.
第1回 若者検討会
「次世代のちからで未来の地球を共創する」
本プロジェクトのキックオフとなる第1回では、アクションリストの基礎となるアイデアの創出と、参加者同士の交流を通した、サステナブルな未来への機運作りを目的とした。
- 開催日時
- 開催形式
- ハイブリット開催
- 会場
- 北海道大学 学術交流会館 第一会議室
- 内容
- レクチャー(40分)+質疑応答(20分)+グループワーク(30分)+交流会
- 登壇者
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山内太郎先生
北海道大学環境健康科学研究教育センター長・Future Earth日本委員会 事務局長 -
佐竹輝洋様
札幌市環境局 環境都市推進部 環境政策課 環境政策担当係長
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レクチャー要約
- 新しい概念である「人新世」:人間の活動が地球環境を劇変させている
- プラネタリーバウンダリー:人類が生存できる安全な活動領域とその限界点
- 世界人口の1/4が10-24歳の若者たち。そしてその10人に9人が開発途上国に住んでいる
- 子供達から大人に伝えていくボトムアップ型で行動変容し、課題を解決していくことが必要
- 中央集中型から自立分散型へ(地域で課題と向き合う)
- インフラ整備などのハード面からでなく、人々の意識変容などのソフト面からのアプローチの重要性
グループワーク
「ありたい未来(2030年)のすがたを考える」
「地球一個で暮らすためにできるアクション」を考えるグループワークを実施。第1回では「ありたい未来(2030年)のすがたを考える」に焦点を当て、対話を行った。対面とオンラインでグループに分かれ、それぞれのアイデアを書き込み、それについて対話を深めるという形で実施した。
グループで上がったアイデア
- 地産地消=高いというイメージをなくすために自治体や企業が補助金を出すなどのサポートをする。
- ふるさと納税を通じて再生可能エネルギーに対する資金を集める。
- バイオマス発電を実装していくためにも企業の方に技術、資金の投資をしてもらいたい。
- 北海道の雪を活用するためにタンクを作り、生活用水に使用する。
- 自治体が積極的に環境問題に関する情報開示をし、地元の子どもたちが学ぶ機会を増やす。
- 都市と里山が共存できる様なシステムづくり。
参加者の声
- 色々な地域の人と対話して、バックグラウンドは違っても同じ課題について認識していると感じました。
- 行動する・伝える・聞く・繋がるということが実現に向けてとても大切だと思いました。
- SDGsや今後の在り方を考えていくのは大人だけでなく、学生も含め当事者全員で考えていくことが大切であると感じました。
- 自分一人では思いつかないような専門の分野を学んでいる方や専門の知識を持っているからこそ産まれるアイデアや、各地域ならではの様々な意見がみられて面白かったです!
- 若者のフレッシュな考えを聞けて刺激になりました。
第2回 若者検討会
「地球環境と私たちのくらし - 現在と未来」
今回は本プロジェクトの2回目となる会であった。
第一回で出たアイデアをもとに、アクションリストの内容をより具体化していくための対話を行うことと共に全国からの参加者同士での交流を促すことを目的とした。
- 開催日時
- 開催形式
- オンライン開催
- 内容
- レクチャー(40分)+質疑応答(20分)+グループワーク(30分)
- 登壇者
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春日文子先生
国立環境研究所 特任フェロー・Future Earth国際事務局 日本ハブ事務局長 -
佐竹輝洋様
札幌市環境局 環境都市推進部 環境政策課 環境政策担当係長 -
中垣藍子様
全国地球温暖化防止活動推進センター (一般社団法人地球温暖化防止全国ネット)
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レクチャー要約
- 環境は繋がり合っていてお互いに影響を与える
- 地球規模の問題に対処するには、分野を超えた連携、様々なステークホルダーとの協力が必要
- SDGsの目標のシナジーとトレードオフをどのように把握し、調整するのかが課題
- 個人、企業その他団体、自治体などの成果を、どのように世界のSDGs達成に結びつけるのか考えていく必要がある
- ゴールに向けたターゲットを各国で定める必要があるが、日本では未だ具体的なターゲットが決まっていない
グループワーク
「現状の問題点、課題を見つける」
「地球一個で暮らすためにできるアクション」を考えるグループワークを実施。
第2回では「現状の問題点、課題を見つける」に焦点を当て、対話を行った。5つのグループに分かれ、それぞれの課題点を書き込み、それについて対話を深めるという形で実施した。
10の項目をベースにグループに分かれて対話を行った
参加者の声
- 地元で様々な分野の人や団体と活動することで、環境問題解決が促進されることに気づきました。
- 様々な人が連帯することの重要性に気づいたと同時に、私たちが直面している現実の問題の複雑性にも気づかされました。
- 望ましい社会を考え、現状を理解して、行動を考えるというステップにより理解が深まりました。このステップは他の活動でも幅広く使えると感じました。
- 環境問題とビジネスの両輪を回さなければいけないという考えは大切だと思うので、環境でビジネスを回せるようになるために今後も努力したいと思いました。
- 今世界には様々な社会問題があるけれど、それら1つ1つが独立した問題なのではなく、深く繋がっていることが多いと分かりました。そのため、様々な人、団体などが協力してより良い社会をつくるために努力することが大切なのだと思いました。
- 環境問題は大きすぎて自分ごととして捉えることが難しいと思う。だからこそどれだけ面白いアイデアを出して多くの人を巻き込めるかにかかっていると感じた。
第3回 若者検討会
「気候危機にどう向き合うか」
今回は若者検討会最後の3回目となる会であった。
前回で出たアイデア・課題点をもとに、アクションリストの内容をより具体化し、10のアクションを作成。全国からの参加者同士の対話を深めた。
- 開催日時
- 開催形式
- オンライン開催
- 内容
- レクチャー(40分)+質疑応答(20分)+グループワーク(30分)
- 登壇者
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江守正多先生
東京大学 未来ビジョン研究センター教授・国立環境研究所 上級主席研究員 -
佐竹輝洋様
札幌市環境局 環境都市推進部 環境政策課 環境政策担当係長
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レクチャー要約
- 地球の平均気温は過去10万年で最高レベル。その原因が人間の活動の影響によるということは疑う余地のない事実
- 気候危機の影響を受けるのはその原因の責任の無い人たちであり、非常に不公平な構造にある
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現在の選択と行動を適切に行うことで、持続可能な社会への可能性はまだ残されている。
しかしタイムリミットがあり、今の判断を間違えるとその道は閉ざされてしまう。 -
日本の中では自分ごととして捉えている人が少ないという事実が調査から明らかになっている。
同時に気候変動対策を「やったほうがいい」とポジティブに捉えている人も少ないという現状がある。
変化を前向きに捉えていくということが必要となってくる。
グループワーク
「ギャップを埋めるアイデアとアクション」
「地球一個で暮らすためにできるアクション」を考えるグループワークを実施。
第3回では「ギャップを埋めるアイデアとアクション」に焦点を当て、対話を行った。これまでの検討会を踏まえて、2030年のサステナブル都市ビジョンを5つの項目に分け、一つ一つの項目についてディスカッションを行った。
- 生物多様性が豊かな都市とは?=公園のような都市
- エシカルな消費ができる都市とは?=暮らしながら資源を循環できる都市
- ウェルネス中心の働き方ができる都市とは?=体と環境が健康な都市
- 若者が社会の流れを決める場に参加している都市とは?=若者が都市作り計画に参加できる都市
- エネルギーや資源が循環している都市とは?=エネルギーの循環システムと自給自足
参加者の声
- 江守先生の講演での今の判断が重要という話がとても印象的で、環境問題に関する思いもより一層強くなったと思います。
- IPCCの内容をお話しいただき、ただ生活しているだけで地球が悪い状況になることの裏付けデータを示されたように感じ、気候変動対策の重要性を再認識しました。
- 気候変動対策というと、何かを制限されるようにとらえられることが多いですが、経済的にも生活の質的にも良い影響があることを知り、そのことをより多くの人に広めて対策を加速できるようにしたいと思いました。
- これからの活動でやるべきこと、考えるべきことはもっとあるのだと気付けました。
- やはりグラフや数値を用いて気候変動の状況等を把握することが大切だと感じました。
東急総合研究所共催|若者検討会 連携イベント
「サステナブルな街づくりをZ世代と研究する会」
若者検討会の連携イベントとして、東急総合研究所共催でワークショップイベントを開催。
NHKエンタープライズの堅達様に地球の現状や企業・自治体の取り組みについてのレクチャーをいただいた後、若者検討会で出たアイデアの課題解決のため、グループごとのディスカッションを実施しました。
- 開催日時
- 開催形式
- ハイブリット開催
- 会場
- 渋谷スクランブルスクエア15F, SHIBUYA QWS
- 内容
- レクチャー(30分)+グループワーク(30分)+交流会
- 登壇者
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太田雅文様
株式会社東急総合研究所 主席研究員 -
堅達京子様
NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー
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レクチャー要約
堅達 京子 様/NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー
「脱炭素へのロードマップ サステナブルな社会をめざして」
- COP27にご参加された堅達様によるCOP27で感じた世界と日本の気候変動への理解の差、チルドレン&ユースパビリオンについて
- 「1.5℃の約束」に活動について。いますぐ活動に起こす重要性
- 「ビジネス訪問団」ビジネスパビリオンのテーマは「ALL IN…」。1.5℃目標へ2030年までの七年間が正念場となる。”有事”対応が必要。
- 気候変動対策に対して、日本国内では「生活の質を脅かすもの」というイメージが先行しており、世界平均とは逆行している。
- 「家庭での節電」「徒歩や自転車での移動」「環境に配慮した商品を選ぶ」など個人ですぐにできるアクションの紹介。
グループワーク
「若者が考えるサステナブル都市ビジョンに対する相談会」
SWiTCH代表佐座による、環境問題の基礎知識、世界の若者がすでに行っているアクション事例紹介、リバースメンタリングなど国際的に若者の意見を反映する制度のレクチャー後、全3回の若者検討会を通して上がった3つのテーマをもとに、グループごとに分かれ、参加者で課題解決へのアイデアを話し合った。
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生物多様性が豊かな都市とは?
課題:里山と都市が離れすぎている上、エネルギーの効率(資金)が都市に集中。 -
エシカルな消費ができる都市とは?
課題:自分が利用するサービスや購入している商品が人権や環境にどんな影響を及ぼしているかが見えない。 -
ウェルネス中心の働き方ができる都市とは?
課題:社会貢献が中心にあるビジネス転換が難しく短中期の利益に偏りがちな現状で、ウェルネスが中心にはなっていない。