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SWiTCH CHAT for actions Z世代が企業に期待するサステナブルアクションとは?

Vol.02 サンゴ礁のスペシャリスト 東京大学 水域保全学研究室 教授 安田仁奈先生

Theme海から考えるサステナブルな生き方

目的

  • 人類が自然と共存し、地球1個で暮らしていくために若者が企業に期待するアクションについて意見をまとめ、発信すること。
  • 普段の生活の中では感じにくい大局的な視点を持って議論をすること。
  • 環境・経済・社会という3つの軸を紹介し、環境への意識が強い参加者が経済・社会のあり方についても考察すること。

概要

人類が地球1個で暮らしていくために、若者が企業に期待することを話し合い、意見を発信する「SWiTCH CHAT for actions」の第2回目として開催。アカデミアトップからの「海の環境問題」に関するレクチャー、参加者同士によるロールプレイングなどのディスカッション、最後の発表とコメントを通じて、「海の環境問題」に対して新しい視座や考え方を参加者が得られる機会を提供した。

日時
開催形式
オンライン
オンサイト会場
SHIBUYA QWS(東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア15階)
参加者数
56名
タイムテーブル
14:00 - 14:20

SWiTCH 佐座「開会の挨拶」

当プロジェクト説明, 地球1つで暮らしていくための参考情報 - UNEP「GEO6 for Youth」等
14:20 - 15:00

安田先生からのレクチャー・Q&A

15:00 - 15:40

参加者同士のグループワーク

15:40 - 15:50

SWiTCH 佐座「閉会の挨拶」

15:50 - 16:00

意識調査

Guest speaker

東京大学 大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻 水域保全学研究室 教授 東京大学農学生命科学研究科 生圏システム学教授 安田 仁奈
東京大学 水域保全学研究室 教授

安田 仁奈 先生

東京大学 大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻 水域保全学研究室 教授 東京大学農学生命科学研究科、生圏システム学教授。日本学術会議連携会員、若手アカデミー副代表、Global Young Academyメンバー。日本サンゴ礁学会川口賞受賞。サンゴ礁生態系の保全に向けて、気候変動におけるサンゴのレフュージア(避難所)やサンゴを食べるオニヒトデの世界各地の大量発生がどのように起きるのかなどを初期生態を中心に野外調査や室内実験、遺伝子解析などにより研究をしています。

Facilitator

SWiTCH代表理事 佐座 マナ氏
SWiTCH代表理事

佐座 マナ

1995年生まれ。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン大学院サステナブル・ディベロプメントコース卒。Mock COPグローバルコーディネーターとして、140ヵ国の環境専門の若者をまとめ、COP26と各国首相に本格的な18の政策提言を行い、世界的な注目を浴びる。COP26日本ユース代表。

参加登録者データ

会場参加の52.7%が10代・20代

所属する教育機関・団体

  • オックスフォード大学
  • フライブルク大学
  • 東京大学
  • 早稲田大学
  • 慶應義塾大学
  • 大阪大学
  • 北海道大学
  • 国際基督教大学
  • 京都外国語大学
  • 東海大学
  • 東北大学
  • 神戸情報大学院大学
  • 産業技術大学院大学
  • 市立札幌開成中等教育学校
  • 藤村女子高等学校 etc.
  • 環境省
  • JICA
  • 三井不動産株式会社
  • 東急不動産株式会社
  • TBSテレビ
  • フジテレビ
  • 株式会社博報堂
  • 株式会社良品計画
  • 株式会社セールスフォース・ジャパン
  • ハースト婦人画報社
  • 日置電機株式会社
  • 独立行政法人国際協力機構 JICA
  • 福岡市科学館
  • 株式会社環境管理センター
  • JIBUN HAUS.株式会社 etc.

安田先生からのレクチャー

「温暖化と海と私達」

執筆にも関わられた「G7広島サミット G7サイエンス声明文」について

  • 3つの柱のうちの一つに「海洋の生物多様性の保全と回復」が取り上げられた。
  • 海と人間がつながっていると認識すること、全ての汚染などは結局最後は海に行っているということを認識すること、科学技術をしっかりとアセスメントしていくこと、より多くの人が「自分たちの海」だから守っていこうという意識をもつことが大事だと、研究者の中でも共通に認識している。

海・サンゴの現状紹介

  • 地球上の気温と同じように、海の表面温度もここ100年間でものすごいスピードで上がっている。
  • サンゴは気候変動に脆弱な生き物。
  • サンゴは海の中の0.2%ほどにしか住めないが、海洋生物のうち1/3は何らかの形でサンゴに依存して生活している。
  • 海の生物多様性を保つ上でサンゴは重要な存在。
  • 1950年から地球の珊瑚礁は半減。
  • サンゴは回復することもあるが、それは陸の私たちにかかっている。

日本の海の実態

  • 日本の海の亜熱帯化により、生態系が驚くほどのスピードで変化している。
  • 複数種のサンゴが北上し、生物の分布域が数年単位で変化している。

海藻と海草の違い

  • 海藻」とは付着生活をおくる海産の大型藻類のことで、「海草」とは沿岸の浅海域に生育し、花を咲かせる 顕花植物。 進化の観点から考えると、「海藻」の一部が陸に上がり、進化した陸上植物が、もう一度海に戻ってきたものが「海草」という関係性である。
  • 「海草」は地下茎という根で繋がり、砂の下で根を張り巡らせている。地下茎が死んだ時にカーボンとして隔離する機能があり、それが「ブルーカーボン」にも活かされる。

「Jブルークレジット」や各地の海の保全活動について

  • パリ協定の発行に伴い、気候変動の緩和に関する活動団体に、企業や団体が「ブルークレジット」を購入することで、活動を支援することができる取り組み。
  • 食卓の魚への影響/環境DNAでの調査:たった数年で大きな影響を与えている
  • 宮崎県串間市の事例:九州最大級のサンゴ群落、観光資源に

安田先生からのレクチャー Q&A

安田

安田先生からの問いかけ

急激な変化の中で、私たち人間は沿岸生態系とどのように付き合っていけば良いのだろうか?
自分が海の生き物だったらどの様に感じるだろうか?

参加者

参加者からの質問

研究をするにあたって、地元の方に対して気を遣って行ったことはありますか?

安田安田

研究する際は、基本的に全てのステークホルダーに確認をとってから行います。サンゴの採集などにおいては、必要なサンプルを最低限とっておくことなどに気をつけています。
また、研究者達の中でルールを別途定めるケースもあります。

参加者

参加者からの質問

そこの地域のステークホルダーがしていることで生態系にダメージが起こっていた場合などは、どうされているのでしょうか?

安田安田

ステークホルダー同士の人間関係が良好でないと生態系の保全も上手くいかないことが多いです。ステークホルダーの意志が揃わないと、海の保全はなかなか上手くいきません。ルールを守らないことというのは、お互いの理解が得られていないからだと思いますが、人間社会の調和が環境保全に一番大事なことだと思っています。

効果的な活動以外が一概にムダな訳ではありません。その活動をしたことが入口となり、人の意識を変え、海の環境変化への気付きになることもあります。何を最終目的にするかで変わると思います。一生懸命に守ろうとしている人がいれば、みんなで話し合い、調和を持って取り組んで行けば良いと思います。

参加者

参加者からの質問

企業が保護する仕組みで上手くいっているものは?

安田安田

例えば宮崎県は様々なステークホルダーが協力し合う場をうまく作ることができていると思います。保全活動をする上で、多くの人の関心を集めるということが重要になります。自治体の人や、漁業者やダイビングショップ、一般の方や学生、ボランティアが協力し、海を保全する活動を伝えることで意識を変えるという場面も目にしました。
直接的な保全に関しては、「Jブルークレジット」もWIN-WINになれるというのは大事ですし、企業側がお金を出したことによる成果がしっかりと得られるとポジティブなループになり続いていくということも聞きました。

個人的には温帯域でアマモを育てるというのは、これから海水温が上がっていく中で厳しいと感じます。人間が負荷を減らした状態で自然に任せるべきなのではないかと思います。年によって育つか否かの状態も大きく変わるので、しっかりとモニタリングし現状に向き合いながら、軌道修正をして進めていく必要があると感じます。

登壇者同士のグループワーク

ロールプレイ方式のグループワーク

グループのメンバーで①漁師 ②地元住民 ③海藻 ④サンゴ ⑤熱帯魚それぞれの立場に立ち、その登場人物になりきってロールプレイゲーム。
ワークシートを共有し、3〜5人ずつのグループに分かれて3つの問いをワークシートを使いながら個人、グループで考え、話し合った。

STEP1 | それぞれの登場人物にとっての「理想の海」とは?
STEP2 | それぞれの登場人物の「理想の海」になった場合、生態系はどうなる?
STEP3 | 自分個人の暮らしや仕事の中で海の生態系を守るために何ができる?

登場人物説明

温帯域の漁師

温帯域の漁師

  • 魚を取ることで生計を立てている
  • サンゴが多いと漁網に絡んでしまい、高価な漁網が破れて、経済的に負担がある
  • 地域で人気だった魚が獲れなくなってしまい困っている
  • 食べる人の多い魚のすみかを作るため、サンゴを削って海藻を植える活動をしている
地元住民

地元住民

  • 近くでサーフィンやダイビングなどの観光業を営んでいる
  • 漁業が気候変動で大変なのは知っているが、近くで魚は買えるため実感はしていない
  • 熱帯魚は好んで食べない
  • サンゴが新しい観光資源になるのではないかと考えている
海藻

海藻

  • かつては仲間も数多くこの地域にいたが、現在では自分達と、漁師が連れてきた仲間のごく僅かになってしまった
  • 新種の魚が増えたことや、海水温が上昇したことで仲間は消えていってしまった
  • 暑くなりすぎると、今まで囲っていた魚を囲えなくなる
  • 自分の成長速度よりも魚が食べる速度が早く回復が追いつかずなくなる一方
サンゴ

サンゴ

  • 熱帯魚のすみか
  • 前に住んでいた環境が暑くなったので、最近この海にやってきた(何代かかけて北へと移住)
  • この地域の気候はよく合っている
熱帯魚

熱帯魚

  • 暖かいところに生息する魚
  • サンゴに付いて南の方の海から、最近この海域へやってきた
  • もともとこのあたりに住んでいた魚たちがいなくなってしまった後にこの地域にやってきた
  • 地元の人からはあまり食べられていない

登壇者同士のグループワーク
発表

Group1

まず初めにサンゴは人間が手を加えにくいものだけど海藻は人間が手を加えやすいものであるという話が出た。
そのため、海はサンゴに明け渡し、海藻や魚は陸上で養殖をし、完全に棲み分けをするのも良いのではないかと言う案が出た。
人間は地域全体、日本全体、世界全体で海への当事者意識を高めていくことが必要であると考えた。

Group2

マイクロプラスチックが 洗剤など気づかないうちに色々なところに含まれている。最近では天然由来のものではなく、科学的に合成した繊維を使うことが多いため、海へのリスクを考えると繊維業界では問題視されているのではないか。
物質的な観点で見ても海や自然への影響があると言うことに気がついた。

Group3

漁師と地元住民の対立が一番大きな問題になるのではないかと言う結論になった。
漁師は魚を取りたいため、サンゴに配慮しないが、地元住民は綺麗で品の良い海のためにもサンゴを守りたいと思う。
両者でしっかりとガイドラインを作りながら進めていくことが必要である。

安田先生からのコメント

安田

愛の反対は無関心。人々の関心を集めることの重要性という観点が出てきたことが嬉しかったです。
無関心なうちにダメージを与えているということに気がつけたというのは素晴らしいことだと思います。
また、地元住民たちが食べる魚は今までの文化や習慣に基づいているものなので、実際にどんな問題が起こっているかは、積極的に認識しなければ変わっていけないと思いました。
人間社会の不調和があると環境問題は守れないので、みんなの共通ゴールを見つけていくことを、難しいですが、やらなければならないと今回のワークショップで気がつけたのではないでしょうか。

レポートのPDFはこちら

今までのSWiTCH CHAT for actions

Vol.1 ゴリラ研究の第一人者、山極壽一先生&人類進化と環境適応から健康を考えるフィールドワーカー、山内太郎先生 Vol.2 サンゴ礁のスペシャリスト 東京大学 水域保全学研究室 教授 安田仁奈先生 SWiTCH CHAT for actions Vol.3