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「CNUD START-UP PITCH Vol.5 〜渋谷の熱中症対策〜」を開催しました!

「CNUD START-UP PITCH Vol.5 〜渋谷の熱中症対策〜」を開催しました!

Info

CNUD START-UP PITCH Vol.5 〜渋谷の熱中症対策〜 実施報告

◯CNUD START-UP PITCH開催目的

CNUDは、渋谷の産官学が脱炭素についての議論を重ねる場として、最新の脱炭素技術や制度情報を共有し、渋谷からサステナブルなアーバンカルチャーを世界へ発信する、渋谷未来デザインの環境コンソーシアムです。
「CNUD START-UP PITCH」では毎回テーマを設定し、その分野の環境先進スタートアップが登壇。登壇者が順にプレゼンテーションし、参加者からのQ&Aに答えます。登壇者どうしのトークセッションでは専門家ならではの問いかけに目からウロコの気づきも。最新テクノロジーをとおして国際潮流をつかむ、気づきと交流の場となっています。

◯概要

第5回のCNUD START-UP PITCHは、渋谷の熱中症対策として、国立環境研究所の岡和孝氏、SPACECOOL株式会社の宝珠山卓志 氏、株式会社日建設計総合研究所の齋藤悠宇氏にご登壇いただきました。冒頭では、SWiTCHの佐座が気候変動の現状を踏まえ適 応策の必要性が増していることを訴えました。
その後、各登壇者の気候変動適応に向けた取り組みについてご紹介いただき、参加者からの質疑応答も行いました。後半には佐座と各登壇者を交えてトークセッションを行い、それぞれの専門分野を活かした社会 実装のあり方やそのために必要な行動変容についても議論が交わされました。最後は参加者同士の交流会の時間となりました。

開催日時:2025年4月25日(金) 14:00~16:00
参加企業・大学数:24社・5大学
参加者数:50名
開催場所:SHIBUYA QWS(渋谷スクランブルスクエア15階)
主催:一般社団法人SWiTCH
共催:一般社団法人渋谷未来デザイン

◯スピーカー

◯タイムテーブル

14:00 挨拶   CNUD概略/気候変動適応と熱中症対策
14:10 Pitch 1 熱中症の現状と適応対策について (岡和孝氏)
14:30 Pitch 2 放射冷却素材の現在と可能性 (宝珠山卓志氏)
14:50 Pitch 3 高解像度熱中症リスクデータの開発 (齋藤悠宇氏)
15:10 対談   登壇者トークセッション
15:30 交流会  交流会/CNUD紹介と次回のご案内
16:00      終了

 


 

|挨拶

本イベントファシリテーターの佐座が開会挨拶を行いました。渋谷など都市部で深刻化する猛暑とヒートアイランド現象を背景 に、急激な気温上昇が高齢者や子供の健康に及ぼす影響を指摘し、最新データでは日本が気候変動対策の個人意識で低評価となっており、従来の温室効果ガス削減(緩和)策だけでなく、熱中症対策など適応策の重要性が増していることを説明しました。 さらに、具体例としてプールサイドの白色塗装による温度低減や、通風の良い経路利用など実生活での工夫を紹介。加えて、環境技術・循環型システムを推進するスタートアップによる新たな取組みを通じ、企業や自治体と連携した実践的対策の普及を訴えました。

 


 

Pitch 1|熱中症の現状と適応対策について

国立環境研究所気候変動適応センター/岡 和孝 氏

本講演では、近年の日本における気温上昇と熱中症の深刻化について、国立環境研究所の立場から説明がありました。日本の夏の 平均気温は100年あたり1.31°Cのペースで上昇しており、東京などの都市部ではヒートアイランド現象により、さらに過酷な環境 になっていると報告されました。

また、国の対策としては、2021年に全国展開された「熱中症警戒アラート」や、2024年から導入された「熱中症特別警戒アラート」などが紹介されました。後者は、さらに厳しい基準に基づいて発表され、自治体にはクーリングシェルターの開設が義務づけ られています。2025年6月から始まる、企業に対して従業員の熱中症対策を義務づける制度についても説明がありました。

最後に、国立環境研究所 気候変動影響・適応センターでは、⺠間企業や自治体と連携し、実践的な熱中症対策の支援や普及啓発 活動に取り組んでいることが紹介されました。熱中症対策は「暑さを避ける」「水分をとる」という基本的な行動に集約されます が、それを実行するためには、個人だけでなく地域や社会全体での取り組みが必要であると締めくくられました。

Pitch 1 Q&Aセッション

質問:科学的な適応のための知識やデータには、どのようにアクセスすればよいでしょうか?日常的に専門サイトを頻繁に見るのは難しいのですが、有効な情報源があれば教えてください。

回答:熱中症に関する情報であれば、環境省が提供しているLINEの通知機能などを活用するのが効果的です。地域ごとの暑さ指数(WBGT)なども確認できます。また、A-PLAT(適応プラットフ ォーム)では、将来の気候変化や熱中症リスクに関する情報が地図形式(WebGIS)でわかりやすく提供されています。

質問:自治体が設置している給水スポット(水のステーション)や、学校のグラウンドを芝生にする取り組みは、熱中症対策として実際に効果があるのでしょうか?

回答:どちらも非常に効果的です。給水スポットの設置は水分補給の機会を増やし、熱中症のリスクを下げるうえで有効です。また、アスファルトの照り返しは体感温度を大きく上昇させるため、芝生化によって地表温度を下げることができます。他にも温度上昇を抑える舗装や塗料を使った道路整備も進められており、都市環境における熱ストレスの軽減に寄与しています。

 


 

Pitch 2|放射冷却素材の現在と可能性について

SPACECOOL株式会社/宝珠山 卓志 氏

本講演では、太陽光を約95%反射しつつ、地表の熱を宇宙に逃がす性質を持つ特殊な樹脂で構成されている放射冷却素材につい て説明がありました。この素材は従来の塗料と比べて高い反射率と放射率を持ち、昼間でも外気温より温度を下げることが可能であり、近年メディアや公共機関で取り上げられ、実証と評価が進んでいることも紹介されました。

この素材は、屋外機器機器では故障を防ぐ効果、自動車工場の屋根、学校、病院などの屋上では空調効率の改善効果、業務用空調 室外機に貼ることで電力使用量,Co2の削減効果、畜産施設では生産期間の短縮など、温度低下によるさまざまな効果あることを強調。小さな積み上げが、都市全体の電力使用の改善、インフラの安定性や強靭性を高める手段として期待されていることが紹介されました。

さらに、都市の表面反射率(アルベド)を高めることで、ヒートアイランド現象の抑制や地球温暖化対策への貢献も期待されてお り、国際会議で砂漠や北極地域などへの大規模展開も構想されていることが紹介されました。たった1枚の薄い素材が、世界的な環境課題の解決につながる可能性が示されました。

Pitch 2 Q&Aセッション

質問:この素材の生産過程における環境負荷はどの程度なのでしょうか。廃棄時のリサイクル可能性に ついても知りたいです。

回答:この素材はレアメタルを使用せず、簡易な製造工程により環境負荷が低いことも評価されていま す。廃棄時も産業廃棄物として処理されますが、有害なPFA類を使っておらず、他製品より環境 への影響が低いです。

質問:反射素材をシート状ではなく、塗装やインクのような形で使うことはできないのでしょうか。その方が用途が広がるのではないかと感じました。

回答:塗装やインク化は一部の企業で試みられていますが、劣化が早いなど実用化に向けては課題があります。そのため、現在は耐久性の高い多層構造のフィルムとしての製品化を進めています。

質問:渋谷のような都市部でこの技術をどのように活用できると考えていますか。都市全体での展開の可能性があれば教えてください。

回答:ビルの屋上などに放射冷却フィルムを広く展開することで、都市全体の太陽熱を反射し、ヒートアイランド現象の緩和が期待できます。また、太陽光の再帰反射フィルムとの組み合わせにより、さらなる冷却効果が見込めると考えています。

 


 

Pitch 3|高解像度熱中症リスクデータの開発について

株式会社日建設計総合研究所/齋藤 悠宇 氏

株式会社日経設計総合研究所のチーム「HITS」が、2024年の東京都オープンデータハッカソンにおいて、熱中症リスクを可視化するダッシュボードを開発し、最優秀賞・オーディエンス賞を受賞したことが最初に紹介されました。WBGTの指標に加えて、3D都市モデルを活用した日陰のシミュレーションを行うことで、きめ細かいリスク評価を可能にした点が高く評価されています。

このダッシュボードでは、東京都内の限られたWBGT観測地点だけでは把握しきれない、身近な場所の暑さリスクを、5mメッシュ・3時間単位で示しています。団地内外や通学路、公園などでの差を視覚的に示すことで、住民が「自分ごと」として熱中症対策を意識しやすくなることを目指しているとのことです。

さらに、人口分布や高齢者比率、救急車の配置、クーリングシェルターの位置などのオープンデータと組み合わせることで、行政や学校、地域団体が効果的な対策を立てることも想定されています。加害活動の場所選定や緑地配置の優先順位づけなど、実際のユースケースも多岐にわたっていることが説明されました。

Pitch 3 Q&Aセッション

質問:このツールは誰が使うのが最も効果的だと思いますか?対象者について教えてください。

回答:主に行政の方に活用していただきたいと考えています。例えばクーリングシェルターの配置などの計画策定時に役立てていただけます。また、民間企業や自治会、住民の方にも使っていただきたいです。特に屋外活動を管理する立場の方にとって、熱中症対策の判断材料として重要だと思います。

質問:こうした情報を住民にどのように届ければ有効だと考えますか?

回答:行政は多くの情報をウェブサイトなどで発信していますが、住民がその情報を知っているとは限りません。情報を「自分ごと」として捉えてもらうには、見せ方が重要です。たとえば、「小さなお子さんがいる方に対して、子どもが受ける熱の影響は大人より大きい」という切り口から情報提供を始めると、具体的な行動(遊ぶ場所を選ぶ、データを確認するなど)につながりやすくなります。また、他の都市データと組み合わせて見せることも重要であると考えています。

 


 

登壇者トークセッション

Q.「先進技術の社会実装に向けて」

国立環境研究所  岡 氏:放射冷却の技術は非常にユニークで、屋根に貼るだけで空調を使わずに温度を下げられる点に大きな可能性を感じました。特に夏場の高温が深刻な国や地域など、国内にとどまらず海外展開も期待されると思いますが、実際にどのような展望をお持ちですか?

SPACECOOL  宝珠山 氏:中東やアジアなど、より高温な地域からの引き合いはすでにあります。ただ、日本でも十分に効果がある技術なので、まずは国内で社会実装を進めつつ、輸出するのではなく現地生産・現地展開といったかたちも模索しています。日本の環境技術としてのブランド力も大切にしたいと考えています。

国立環境研究所  岡 氏:PLATEAUを活用したヒートリスクの可視化は、行政の計画にも活かせそうで、自治体の防災や都市設計への応用が進めば、全国的に大きな効果があるのではと感じました。今後、他の都市や地域にも展開することは可能なのでしょうか?

SPACECOOL  宝珠山 氏:技術的には応用可能ですが、現時点でPLATEAUの3Dデータが整備されている地域が限られていることや、演算コストの高さが課題です。そのため、まずは関心のある自治体やパートナーと協力しながら、丁寧にモデルケースを増やしていく方針です。将来的には全国展開を視野に入れています。

Q.「気候変動適応に向けた身近な変化とは」

日建設計総合研究所  齋藤 氏:私たちは熱中症リスクのデータや予測、対策情報などを発信していますが、実際には利用者が少なく、なかなか活用されていない印象があります。人々が自分ごととして受け取り、行動を変えてもらうには、どのような工夫が必要だとお考えでしょうか?

国立環境研究所  岡 氏:人は単に情報を与えられただけでは行動を変えません。自らの生活の中で「この技術は自分にとって意味がある」と実感できる導線が必要です。例えば共感できる物語や具体的な利用シーン、他人の使用例などを通じて、自然に使ってみたくなる仕掛けが求められます。近所の高齢者が熱中症警戒アラートをきっかけに外出を控えて健康被害を防げた、といった具体的なエピソードや、家族の安全を守る行動と結びつけることで、「使ってみよう」と自然に思えるきっかけが生まれます。技術と人間の接点をどうデザインするかが重要です。

日建設計総合研究所  齋藤 氏:宝珠山さんに伺いたいのですが、中東では日差しを遮るシートを使って公共空間を快適にし、人が集まる場にしている例があります。日本でもバス停などの場所に放射冷却素材を活用すれば、公共のあり方に新しい展開があるのではと思っています。都市計画との関わりも含めて、何かお考えがあれば教えていただけますか。

SPACECOOL  宝珠山 氏:東京都でもバス停に放射冷却素材を使う実験をしていますが、横から熱風が流れ込むため、屋根だけでは効果が限定的です。ただ、広い空間で使えば十分に冷えることも分かってきています。今後は市場のような場所での活用や、建築基準と組み合わせて都市全体での展開が期待できると思っています。

◯参加者の所属組織

 

◯主催:

◯共催:

Info
Location: SHIBUYA QWS
Date: 2025年4月25日
End Date: 2025年4月25日